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【BYレイ】八ヶ岳に恋をして・やまのこ村~行者小屋 【BYレイ】八ヶ岳に恋をして・行者小屋~地蔵の頭【BYレイ】八ヶ岳に恋をして・地蔵の頭~赤岳天望荘~赤岳【BYレイ】八ヶ岳に恋をして~赤岳~赤岳天望荘【BYレイ】八ヶ岳に恋をして~横岳~硫黄岳【BYレイ】八ヶ岳に恋をして~硫黄岳→赤岩の頭 の続き
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遭難の七割は下山時に発生するという。
登山のクライマックスがピークだとすると、下山は消化試合のようなもの。
体力に加え、緊張感や集中力も下っていく。
九十九折りの長い長い道は、どこまで行っても代わり映えしない景色で、
そろそろ飽きて来ていた。
そんな時だった。
山を侮るなかれと、山の神からの警告だったのだろうか。
次のポイントまでなかなか着かないと薄々感じていたが、
道に迷った事を知ったのは後になってからだった。
気が付いた時には、山の中に二人だけになっていた。
今から思い出しても、どこで間違えたのかわからない。
それほど正しい登山道とそうではない道と区別がつかない。
加えて八ヶ岳は標識が少ない。
正しいのか、間違ったのかの判断もつかない。
『ここで待ってて、すぐに戻るから』
コモチャンに無駄な体力を使わせたくなかった。
体力は私の方がある。
『ヤダ、一人にしないで』
珍しくコモチャンが甘えてくる…
と言うことは彼女には余裕がないんだ。
私が……私がしっかりしなければ……
高い山に登る時には、常に遭難の可能性を視野に入れている。
日が暮れてしまうと街灯のない山の中は身動きが取れない。
順調に行っても駐車場までは二時間以上ある。
日はまだ高かったが、モタモタしていられない。
そうだ!
GPSがある。
多くの携帯に標準装備されている地図アプリは登山でも役に立つ。
これまでの山行でも随分助けられてきた。
ところが…
ダメだ。圏外だ。
有能なGPSでも木々に囲まれた場所では入らない。
しょうがない。
山荘に電話しよう。
ダメだ。
やはり圏外だ。
山深い森の中で二人きりになってしまった。
身震いしてしまうほどの孤独感。
落ち着けアタシ。
落ち着けアタシ。
最悪の場合はビバーク(山中での緊急宿泊)することも考えて食料と防寒の用意はある。
が、そんなことしてたまるか。
最後の頼みの綱は地図だけだった。
地図といっても地形を等高線で正確に表してある地形図は読めないので、
『関東の山ベスト100』というガイドブックなのだが…
これが役にたった。
見過ごしてしまうような、細く青い線
あ……これ……沢だ。
と、すると……どこかに沢に入る道があったはずなんだ。
よし、戻ろう。
来た道を戻るという事は勇気がいる。
が、迷ったら戻れ、は鉄則だ。
コモチャンを励まして、踵を返し、再び登り出す。
しばらく歩くと……
やったぁ~!
あったよ、あったあった!
間違いない。
地図にあった沢だ。
登り側から見ると、間違えるはずのない道でも、
下りだと、別の道の方に自然に足が向いてしまったのだろう。
その後は、無事に正規のルートに合流し、日の高い時間に登山口に戻ることが出来た。
写真は赤岳の沢の水です。

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北アルプスが百貨店なら、八ヶ岳はコンビニだと言う。
原生林も、キレットも、岩場も、鎖場も、梯子も、ケルンも、
火口壁も、お花畑も、沢も、池も、苔むす石も、
険しさも、優しさも、全て揃っている。
八ヶ岳……
懐深き気高い山
貴女と登ったロマンチックな山
八ヶ岳シリーズはこれで終わりです。
長い間ありがとうございました。
実は先月、再度、八ヶ岳(天狗岳)に登っています。
来年はL仲間と登りたいな。
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